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漢方内科のご案内 |
漢方とは、紀元前に中国で発祥した医学を日本に導入し、特に鎖国制度を敷いていた江戸時代に日本で独自に
発展し、体系づけられたものです。(西洋)オランダ医学の「蘭方医学」に対応して「漢方医学」と名付けられました。
したがって、中国の伝統医学とは少し異なり、中国では「中医学」と呼ばれております。漢方医学は明治時代に入り、
西洋医学を第一とする考えから医学としては認められなくなりました。しかし、多くの漢方医の先達たちの努力の結果、
1976年よりエキス剤が保険適用されることになり、現在では多くの医師が処方しています。また、近年多くの大学で
漢方医学が医学教育のカリキュラムに取り入れられてきています。結果的に、日本では一人の医師が西洋薬も漢方薬も
処方できるという非常に恵まれた状況になっています。
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漢方治療の基礎 |
痛みや不快感、頻尿、膀胱炎を繰り返す、腰や手足が冷えて困る、便秘・下痢が続くなどのさまざまな症状があるのに、病院でいろいろな検査をしても異常ないといわれ悩んでいる人は少なくありません。このような西洋医学ではなかなか病気として認めてもらえないときに、漢方医学の出番となります。また、西洋(現代)医学による治療と並行・補完し共同して治療に当たることで効果を上げることもできます。漢方治療は基本的には体調を整えるのが目標ですから、西洋薬のように非常に攻撃的な治療と組み合わせることで、西洋薬の効き目を高めたり、副作用を軽減したりすることができます。また、はっきりした原因が分からないため西洋医学では打つ手がないような場合に漢方治療で解決できることも少なくありません。漢方薬は自然由来の生薬をもとにして、何千年、何百年のいわば無数の臨床試験を経たもので、心と体にやさしい医療といえます。
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漢方薬(エキス剤)の上手な飲みかた |
(1)いつ飲んだら良いですか?
漢方薬は、吸収が悪いが胃腸障害は少ないという特徴があります。したがって、食事の前30分、
または食事と食事の間(食間)の空腹時の内服が一般的です。しかし仕事の都合で食前の内服ができない時や、
内服でお腹の具合が悪くなる場合は、通常の薬と同じく食後の内服でもかまいません。
実際、食前・食間の内服は面倒でつい忘れがちです。したがって当院では、最近は原則として
食後の服用として処方しております。なお、地黄を含む漢方薬(八味地黄丸など)はお腹がもたれたり、
腹痛が起こることがあるので、特に食後の服用を薦めております。また、便秘に対応する漢方薬(下剤)は、
空腹時が効果的ですので、夜間床に就く前に内服することをお勧めします。
(2)どのように内服したら良いですか?
通常の「こな薬」のように、顆粒のまま水で飲んでも構いません。香りを薬効とする特殊な漢方薬を除けば、
オブラートに包んで飲んでも問題ありません。しかし、余裕のある方は、漢方薬エキスを湯のみ茶碗にいれ、
熱いお湯に溶かして、お茶を飲むようにゆっくりお飲みください。夏場は氷を入れて冷たくして飲んでも構いません。
「冷え」のある方は、特に温かいまま飲むと効果的です。カップの水に薬を入れて 電子レンジで温めてもよいです。
基本的には、飲みやすい方法で構いません。一般的には、ひと肌の湯で飲むのが最も苦みを感じないようです。
(3)他の薬(西洋薬)と一緒に飲んでもいいのですか?
できれば飲む時間を30分〜60分あけて内服したほうが良いといわれていますが、通常は同時に内服しても問題ありません。
特に、当院では、食後の服用を薦めておりますので、他の現代薬と併用することが多いのですが、問題はないようです。
なお、他院より既に漢方薬が処方されている方は、その旨を医師に申し出てください。漢方薬に含まれる生薬によっては
重複内服で危険なこともあります。
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対応する症状 |
・男性、女性の更年期症状(不安、不眠、イライラ、怒りっぽい、抑うつ傾向など) ・なんとなく倦怠感が強く、元気が出ない ・顔がほてり汗が出て、不眠もあり、感情の抑制ができない ・血糖値や中性脂肪値が高く、内臓脂肪が多く肥満状態と言われている ・生理痛と冷え症がひどくこまっている ・便秘や下痢が続いている ・その他 |
インフルエンザの感染予防に漢方薬 |
最近、漢方薬の「補中益気湯」にインフルエンザ感染予防効果があることがわかってきました。
補中益気湯は免疫低下状態を改善することでよく知られている漢方薬です。漢方的には「気」すなわち気力・元気を補う
「補気剤」に分類される漢方薬です。この薬は漢方古今名方中の傑作として知られ、薬の王様という意味で「医王湯」
とも呼ばれています。通常、生体がウイルスに感染しますと、生体はインターフェロンという物質を分泌し、
ウイルスに対抗しようとします。この補中益気湯を内服していますと、ウイルス感染時に、早期に大量のインターフェロン分泌を
促し、結果的にウイルス増殖を抑えることがわかってきました。このような生体の防御機能を亢進させる補中益気湯は、
インフルエンザウイルスに感染しにくくする、あるいは感染しても早めに治癒するということが期待されております。
今季はインフルエンザワクチンは十分確保できておりますが、副作用が怖くて予防接種を受けたくないという方は
補中益気湯を内服することをお勧めします。また、ワクチンもインフルエンザ感染を100%防ぐわけではありませんので、
予防接種を受けた方もさらに補中益気湯を内服することもよりよいと思います。
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