HOME > お知らせ&新着情報 > 今月の疾患解説 > 幼小児の包茎について

幼小児の包茎について

 「包茎」は、「おちんちん」の先端の皮(包皮)の開口部(包皮口=おしっこの出てくる穴)が狭いために、包皮を押し下げても亀頭を露出できない状態をいいます。ほとんどの新生児・乳児・幼児はこの状態です。逆に、この時期に常時亀頭が露出している場合は病的で、尿道下裂(おしっこの出口が、陰茎の途中や陰茎と陰嚢の境目などに有る)などの異常があると考えられます。この時期の包皮と亀頭の大部分は生理的に癒合していて、一体のものとなっています(はがすことはできない)。成長とともに包皮口は開大し、包皮と亀頭の間に上皮が形成され、生理的癒合がはがれてゆきます。時に、包皮と亀頭の間に分泌物が蓄積することがあります(恥垢)。包皮の外側から白く透けて見え、両親がびっくりすることがあります。しかし、これは包皮内側と亀頭の間に分泌物がたまってきたもので、生理的癒合が剥がれてきた証拠です。もう少し成長し、さらに癒合が剥がれてくると、恥垢はボロボロとこぼれ落ちてきます。包皮内側と亀頭の上皮が完成し、生理的癒合が完全に剥離し、包皮口も十分な大きさになると、包皮を翻転(包皮を押し下げる)すると亀頭を露出することができるようになります。通常は10歳までには、亀頭を完全に露出できるようになります。ただし、この時期にあわてて包皮を翻転し、亀頭を露出したままにしておくと、包皮口はまだ十分に広がっていないので、包皮が元に戻らなくなり、むくんで浮腫となり自然に戻すことができなくなります(嵌頓包茎)。包皮を元に戻せない場合は、緊急手術が必要になります。したがって後で述べるような症状がなければ、ご両親は決して包皮を強引に剥がないようにて下さい。一言でいえば、「無症状の幼小児の包茎は、両親、医療者ともに積極的に介入する必要はありません」。包茎に対処しなければならない症状とは次のようなものです。①亀頭包皮炎 : 包皮口から膿(うみ)が出て、陰茎が赤くなり、痛みをうったえる。②包皮のバルーニング : 包皮口が極端に狭く、排尿時に包皮内に尿が貯留して風船様に腫大し尿線もチョロチョロと細い。③嵌頓包茎 : 翻転した包皮が戻らなくなり、むくんでしまう。このような、治療が必要となる包茎に対しては、手術やステロイド軟こうの塗布などがありますが、泌尿器科医のアドバイスを受けることをお薦めします。

このページのTOPへ戻る