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夜間頻尿について

夜間頻尿とは?
夜間就寝中に一回以上排尿のために起きる場合を夜間頻尿といいます。夜間頻尿は男性、女性を問わず日常生活に最も影響する下部尿路症状です。床に入ってから一回以上排尿に起きるのは40歳台で40%、70歳台では90%以上と言われ、夜間の排尿回数も加齢とともに増加してゆきます。 

夜間頻尿の原因は?
以前は、夜間頻尿は男性の前立腺肥大症の特徴的な症状の一つとして考えられていました。ところが多くの女性も悩んでおり、最近はさまざまな原因があることが分かってきました。たとえば水分の過剰摂取、夜間多尿、高血圧、加齢による膀胱容量の低下と膀胱排尿筋の不随意な収縮(過活動膀胱)、睡眠障害などが考えられています。高齢者では全身の筋肉量の減少とともに、体内の水分保持量が減少します。そのため水分の取り方により容易に脱水となり、また逆に容易に水分過剰となります。最近は、循環動態の改善の目的で、多量の飲水を指導されることが多く、これが高齢者の夜間多尿の原因となっていることも少なくありません。さらに高血圧があると、日中は腎血管の抵抗が亢進し腎血流量が低下していることから、体内の過剰水分は細胞外に貯留することになり浮腫状態となっています。ところが夜間就寝中の安静状態では、腎血管抵抗が低下し腎血流が増えることで尿量が増加すると考えられます。夜間尿量は、健康な若年者では一日尿量の20%程度ですが、高齢者では健康な方でも30%程度に増加します。ところが、心臓機能低下のみられる高齢者では、夜間尿量が40~50%にも増加します。また加齢に伴い夜間の睡眠の質が低下し、中途覚醒や睡眠効率の悪化がみられるようになります。若年者はたとえ中途覚醒しても排尿せずにそのまま再入眠することができるのに、高齢者では、夜間尿量の増加や膀胱容量の減少などから、排尿に起きることになります。 

夜間頻尿の問題点は?
夜間頻尿があると、熟睡感がないのはもちろん、身体的健康感、精神的健康感が不良となります。また暗い部屋をふらついてトイレに行くことから転倒、骨折の危険性も高くなります。結果的に、夜間頻尿のない高齢者に比べ死亡率も3倍近く高くなることが報告されています。 

夜間頻尿の診断と治療は?
夜間頻尿の原因を一つに特定することは困難ですが、一日の水分の取り方、昼寝の有無、夕食の時間、就寝時間などの生活習慣を調べます。残尿量の測定、前立腺の触診(直腸診)、検尿(顕微鏡)による尿路炎症疾患の有無、排尿日誌による昼間と夜間尿量の確認などが必要です。これらの結果から原因に応じて、治療法を組み合わせて治療計画を立てることになります。

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