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腹圧性尿失禁について

日常の生活の中では、尿を排出している時間はきわめて短く、24時間のうちほとんどは蓄尿の状態ですごしています。この蓄尿機能が障害されるといわゆる「蓄尿症状」が発症し、生活の質(QOL)を極めて悪くしています。蓄尿症状のうち尿失禁は特に女性に多くみられ、40歳以上の女性の方では、軽症の方も含めますと、実に1500万人の方が尿失禁に悩んでいます。 

尿失禁の主なものは 切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁です。切迫性尿失禁は、5月の「今月の疾患解説」で述べました「過活動膀胱」のときの失禁です。膀胱の異常収縮による突然の耐えがたい尿意でトイレが間に合わないとチビッテしまうというものです。一方、腹圧性尿失禁は、咳きこんだ時、重いものを持ち上げた時、階段を上り下りした時などお腹に力がかかった時に思わず尿を漏らしてしまうものです。これは膀胱の異常というよりも膀胱を支える骨盤低筋や尿道括約筋が弱くなったものです。骨盤底筋の緩みの原因は、妊娠・分娩による骨盤底筋の損傷、加齢・更年期・肥満などによる女性ホルモンの低下が尿道周囲組織をゴムのような弾性の低下させること、子宮摘出術などが原因と考えられています。 

治療には、骨盤底筋体操、薬剤、手術があります。 骨盤底筋体操は、意識的に肛門、尿道、膣の周りの筋肉をできるだけ長く5-10秒締める体操を20-30回繰り返します。次に同じく短く0.5-1秒の間隔で締める体操を20-30回繰り返します。これを一セットとして、一日3セット以上行うようにします。2カ月ほどで効果を実感できます。薬剤は、膀胱の収縮を抑える薬と尿道括約筋を収縮させる薬を組み合わせて使います。しかし、薬剤はあくまでも骨盤底筋体操の補助手段と考えるべきものです。骨盤底筋体操や薬剤で改善が見られない場合は比較的侵襲の少ない外科的治療もあります。

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